クラミジア感染症2025 ― 不妊への影響・症状・日本の予防ガイド

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ザッペルフィリップ・マルクス
クラミジア菌の顕微鏡写真

クラミジアは日本で最も多い治療可能な性感染症(STI)です。WHOによると、世界で年間約1億2900万件の新規感染が報告されています。日本では毎年約2~3万人が報告されていますが、無症状例が多く、実際はさらに多いと推定されています。放置すると不妊症など深刻な合併症につながるため、早期発見・予防が重要です。

クラミジアとは?原因・感染経路

原因はChlamydia trachomatisという細菌。主に性行為(膣・肛門・口腔)で感染し、尿道・子宮頸管・直腸・咽頭の粘膜に炎症を起こします。妊婦が感染している場合、分娩時に新生児へ感染し結膜炎や肺炎を引き起こすこともあります。

主な症状・リスク

女性: 約70~90%が無症状。症状が出る場合は異常なおりもの、性交痛、排尿時痛、不正出血、下腹部痛など。放置すると骨盤内炎症(PID)、卵管癒着、不妊症、子宮外妊娠、早産・流産リスクが高まります。

男性: 約50%が無症状。症状が出る場合は尿道からの分泌物、排尿時痛、精巣・副睾丸の腫れや痛み。まれに精巣上体炎、不妊症、関節炎(Reiter症候群)などの合併症も。

共通: 慢性化すると骨盤痛、不妊、妊娠合併症、新生児感染などのリスクがあります。

検査・診断方法(日本)

  • NAAT/PCR検査: 高精度。結果は1~2日で判明
  • 女性: 膣・子宮頸管ぬぐい液または初尿
  • 男性: 初尿または尿道ぬぐい液
  • 妊婦: 妊娠初期にスクリーニング推奨

自覚症状がなくても、パートナーが感染した場合や不妊・流産歴がある場合は必ず検査しましょう。

治療法・薬剤

第一選択: ドキシサイクリン(7日間)
代替: アジスロマイシン単回投与(効果はやや低下傾向)
近年はアジスロマイシン耐性増加のためドキシサイクリンが推奨されています。パートナーも同時治療が必要です。

予防・セルフケア

  • コンドームの正しい使用(膣・肛門・口腔)
  • 定期的な検査(25歳以下の女性は年1回推奨)
  • パートナーと検査・治療を共有
  • 性具は毎回洗浄・新しいコンドームを使用
  • 妊婦は妊娠初期に必ず検査

医療機関を受診すべきタイミング

  • 異常なおりもの・排尿時痛・不正出血・下腹部痛がある場合
  • パートナーが感染した場合
  • 不妊・流産歴がある場合
  • 新しいパートナーとの性行為前後

感染が判明したら、パートナーも必ず治療し、治療終了まで性行為を控えましょう。

まとめ

クラミジアは日本でも非常に多い性感染症ですが、定期検査・コンドーム・早期治療で不妊や合併症を予防できます。無症状でも油断せず、パートナーと協力して予防・治療を徹底しましょう。

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よくある質問(FAQ)

クラミジア・トラコマティスという細菌による性感染症です。無症状が多いですが、放置すると不妊などの合併症につながります。

異常なおりもの、性交痛、排尿時痛、不正出血、下腹部痛など。約70~90%は無症状です。

尿道分泌物、排尿時痛、精巣・副睾丸の腫れや痛み。約50%は無症状です。

性行為(膣・肛門・口腔)で感染します。妊婦から新生児への感染もあります。

早産・流産・新生児感染(結膜炎・肺炎)などのリスクがあるため、妊娠初期に検査が推奨されます。

女性は卵管癒着・子宮外妊娠、男性は精巣上体炎・精子障害などで不妊リスクが高まります。

パートナーが変わった時、症状がある時、妊娠初期、不妊・流産歴がある場合は必ず検査しましょう。

NAAT/PCR検査が主流。女性は膣・子宮頸管ぬぐい液または初尿、男性は初尿または尿道ぬぐい液です。

ドキシサイクリン7日間が標準。アジスロマイシン単回投与もありますが、耐性増加傾向です。

パートナーも必ず同時治療し、治療終了まで性行為を控えましょう。

パートナーが未治療の場合は再感染リスクがあります。両者の治療が重要です。

コンドームの使用、定期検査、パートナーとの情報共有が有効です。

現時点で承認されたワクチンはありませんが、研究が進んでいます。

パートナーが未治療の場合は再感染が多いです。両者の治療・検査が重要です。

はい。咽頭・直腸にも感染するため、コンドーム・デンタルダムの使用が推奨されます。

骨盤内炎症(PID)はクラミジアなどによる子宮・卵管の炎症で、不妊や慢性痛の原因となります。

淋菌・梅毒・HIV・トリコモナスなども同時検査が推奨されます。合併感染が多いためです。