卵管結紮(避妊手術)後でも、再接合手術(卵管再建術)によって自然妊娠の可能性が回復します。日本では再婚や家族計画の変更で「もう一度妊娠したい」と希望する女性が増えています。本記事では日本の現状、成功率、費用、代替案を解説します。
再接合手術の適応と条件
- 卵管残長4cm以上が理想
- 年齢35歳未満が成功率高い
- AMH(抗ミュラー管ホルモン)値1ng/ml以上
- BMI 20~30
- クリップ・リング・短い焼灼による結紮が有利
再接合を希望する主な理由
- 再婚・新しいパートナーとの子どもを希望
- ライフプランの変更(経済的安定・家族拡大)
- 家族の喪失や兄弟希望
- 手術時の後悔・一時的な決断だった場合
- 宗教・文化的価値観の変化
成功率と年齢別妊娠率
- 30歳未満:妊娠率75%
- 30~34歳:65%
- 35~39歳:45%
- 40歳以上:20%
卵管残長・繊毛の状態・パートナーの精液検査結果が重要です。
術前検査と準備
- 血液検査(AMH・FSH・LH・エストラジオール)
- 卵管造影(HyCoSy/HSG)で卵管の開通性を確認
- パートナーの精液検査(WHO2021基準)
- 麻酔・手術説明と同意
主な手術方法
月経終了後2~3日が理想。全身麻酔下で腹腔鏡による卵管再建術(ラパロスコピー)を行います。
- 下腹部に小切開、カメラ挿入
- 卵管断端を顕微鏡下で縫合(6-0ナイロン)
- メチレンブルーで通過性テスト
- ロボット支援手術も一部施設で導入
手術時間は60~90分が目安です。
術後管理・注意点
- 翌日退院、1週間で仕事復帰
- 3ヶ月後に卵管造影で再開通確認
- 4周期目から妊娠トライ開始
片側下腹部痛・肩痛・めまい・不正出血は卵管妊娠の可能性があるため、すぐ受診を。
パートナーの妊孕性も重要
不妊の約30%は男性側に原因。禁煙・適度な飲酒・バランスの良い食事・運動で精子の質を高めましょう。
全体の妊娠率とリスク
平均妊娠率65~74%、生児獲得率40~45%。卵管妊娠リスクは4~8%。出血・感染などの手術リスクは稀です。
妊娠率を高める生活習慣
- 葉酸400μg/日を術前4週間から摂取
- BMI 20~25を維持
- 3ヶ月間の禁煙
- 週150分の有酸素運動
再建が難しい場合の代替案
- IVF: 卵管の状態に関係なく体外受精が可能
- ICSI: 精子を直接卵子に注入
- 卵子提供: 日本では一部クリニックで実施例あり
- 凍結保存: 胚や卵子の保存も選択肢
費用と保険適用
日本では約30万~60万円(自費診療)。健康保険は適用外ですが、自治体によって助成金制度あり。IVFは1回30万~50万円が目安です。
施設選びのポイント
- 年間卵管再建術症例数
- 妊娠率・卵管妊娠率の公開
- 顕微鏡20倍以上・ロボット支援の有無
- メチレンブルー通過テストの標準実施
最新技術と今後の展望
3Dプリント卵管スキャフォールドやナノコーティングステント、バイオアクティブハイドロゲル注入などの再生医療技術が開発中。2026年以降に臨床試験開始予定です。
まとめ
若年女性・卵管残長が十分な場合は再接合手術で高い妊娠率が期待できます。難しい場合はIVFやICSIが有効な代替案です。最新技術の進展にも注目しましょう。

