人工授精や体外受精は、自然妊娠が難しい場合に、カップル・シングル女性・LGBTQファミリーに新しい家族の可能性を広げます。軽度の排卵障害から重度の不妊症まで、再生医療は年々成功率が向上しています。本記事では、日本語で主要な治療法、適応、費用、リスクをわかりやすく解説します。
主な不妊治療法の比較
- ICI / IVI ― 自宅人工授精(シリンジ法)
精子をシリンジやカップで子宮頸部付近に注入。軽度の不妊や精子提供に最適。費用が安く、プライバシー重視。 - IUI ― 人工授精
洗浄した精子をカテーテルで子宮内に注入。男性因子・頸管因子・原因不明不妊に有効。 - IVF ― 体外受精
複数の卵子を採卵し、培養室で精子と受精。卵管因子やIUI不成功例に標準治療。 - ICSI ― 顕微授精
卵子に1個の精子を直接注入。重度男性不妊やTESE精子に最適。
日本の体外受精・顕微授精は1周期約30万~60万円。保険適用は条件付きで最大6回まで。自治体助成もあり、自己負担は大幅に軽減されています。
医療機関受診のタイミング
WHOによると、35歳未満は12ヶ月、35歳以上は6ヶ月間避妊せず妊娠しない場合は不妊症とされ、医療機関受診が推奨されます。主な原因:
- ホルモン異常(PCOS・甲状腺疾患など)
- 卵管閉塞・癒着・切除
- 精子数・運動率の低下
- 子宮内膜症・腺筋症
- 加齢による卵子減少
- 原因不明不妊
- 男性パートナー不在の家族形成
年齢別の成功率
日本産婦人科学会・IVF統計による2023年の平均妊娠率(胚移植あたり):
- 25歳: 妊娠率約46%、出生率38%
- 30歳: 妊娠率約41%、出生率33%
- 35歳: 妊娠率約32%、出生率24%
- 40歳: 妊娠率約17%、出生率12%
42歳以降はさらに低下。多くのクリニックでは卵子提供(日本は臨床研究のみ、海外は合法)を提案します。
主なリスク・副作用
ESHRE欧州統計(2023)によると、単一胚移植でリスクは大幅減少しますが、以下の副作用が報告されています:
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS): 腹痛・吐き気・むくみ
- 気分変動: ホルモンによる精神的アップダウン
- 多胎妊娠: 複数胚移植時にリスク増加
- 採卵後の軽度出血・感染症
個別刺激法・単一胚移植で副作用リスクは大幅に減少します。
その他の不妊要因
- 子宮内膜症・筋腫・癒着
- クラミジア・淋菌など感染症
- 慢性的なストレス・睡眠不足・うつ
- 喫煙・飲酒・肥満・低体重
- 診断で原因不明の不妊
レズビアンカップルの不妊治療
レズビアンカップルは精子提供によるIUI・IVFが主流。非妊娠側パートナーは現状「特別養子縁組」で法的親となります。保険適用はなく、全額自己負担です。
精子提供アプリ「RattleStork」― 柔軟な選択肢
RattleStorkは希望者と認証済み提供者をマッチング。カップル・シングルが自宅人工授精(シリンジ法)を自分のペースで計画できます。迅速・安全・低コスト。

まとめ
現代の不妊治療は多様な選択肢があります。原因・費用・リスクを理解し、専門医と相談しながら最適な方法(体外受精・人工授精・精子提供など)を選びましょう。