日本で「精子バンク」を探している方向けに、2025年時点の確かな実情をまとめました。結論から言うと、日本には欧米のように大規模に一般募集中の国内精子バンクはまだ整備されていません。一方で、医療機関での第三者配偶子(ドナー精子)の扱い自体は長年グレーゾーンにあり、実務では海外のライセンス銀行から凍結ドナー精子を輸入して臨床で用いるルートが中心です。法整備は進行中で、出自を知る権利に配慮した制度案が2025年に国会へ提出されています。
参考:日本では配偶子提供を包括的に規定する成文法が長らく欠け、オンライン個人提供のリスクが問題化。産婦人科関連学会は安全な国内精子バンク整備の必要性を示しています。総説(2020)、日本経済紙英字:法案提出(2025/2)、日本産科婦人科学会ノート。
数字と位置づけ
- 法制度の現状:配偶子提供の枠組みは不十分で、AID/IVFにおけるドナー情報の扱い等はガイドライン中心。2025年提出の新法案は、成人後に身長・血液型・年齢など限定情報の開示を認める方向。報道(2025/4)
- 学会の要請:オンライン個人提供の危険性が高く、信頼できる国内バンク設立への期待が明記。日産婦ノート、日本のオンライン提供の実態(2021)
- 実務の標準:検査・凍結・解凍などの検査処理はWHO精液検査マニュアル(第6版)に準拠。WHO Manual
クイックサマリー(都市別の実情)
国内で「広く一般からドナーを公募し、国内在庫を販売する」型の精子バンクは整備途上です。実務では次の2パターンが中心です。
- 輸入コーディネート型:東京・大阪の事業者がCryos等の海外バンクからの正規輸入・院内納品を手配(費用目安:バイアル代600–900USD+国際輸送650USD〜)。OGMS(東京・大阪)
- 医療機関利用:各クリニックの方針に従い、患者自身が選んだ海外バンクのバイアルをクリニックへ配送して移植(IUI/IVF)に使用。Cryos:日本向け配送案内
日本で実際に使われる入手ルートと窓口(A–Z)
国内の窓口(輸入・コーディネート)
OGMS(東京・大阪)
- 提供:海外精子バンクの登録・購入・輸送・院内搬入までを一括支援。
- 費用例:バイアル600–900USD/本、米国→日本の輸送650USD〜(目安、ドナーにより変動)。
- リンク:ogms.info/en/sperm
海外の主要精子バンク(日本への配送に対応)
Cryos International(デンマーク)
- 特徴:世界最大級、100カ国以上へ出荷。ID公開型/非公開型を国別要件に合わせて選択。
- リンク:cryosinternational.com、配送ガイド
(参考)国内での新設計画:2024年、成人後に身元開示に同意するドナー型の精子バンクを東京で立ち上げる計画が報じられました(日本初の試み)。実運用は各クリニックのアナウンスを確認してください。Progress Educational Trust
提供・利用のながれ(日本で一般的なケース)
- 初回相談:医療機関で適応(IUI/IVF)や必要検査を確認。法案動向と院内規程(同意手続)を把握。
- ドナー選定:海外バンクの検索で健康・表現型・ID開示可否などを確認し、バイアル数を決定。
- 輸入手配:輸送タンク(液体窒素充填)でクリニックへ配送。到着後に保管・解凍のスケジュール調整。Cryos:購入手順
- 治療実施:IUI/IVF当日に解凍・調整。結果は院内の標準プロトコル(WHO準拠)で説明。
注意:オンライン個人提供は検査・感染対策・トレーサビリティが不十分な例が多く、安全上のリスクが指摘されています。調査(2021)
実務に役立つポイント
- 法と同意:成人後の情報開示や同意文書の取り扱いなど、クリニックの最新方針を必ず確認(2025年の法案審議を踏まえる)。法案提出の報道
- 品質:検査内容(感染症・遺伝学的スクリーニング)と凍結法、バイアル種別(IUI/ICI/ART)を事前に確認。WHO Manual
- 費用の見通し:ドナー・在庫・輸送で総額が変動。OGMSの公開目安(バイアル600–900USD、輸送650USD〜)を参考に積算。OGMS
- 安全保障:院内導入できる正規の医療ルートのみを利用。個人間取引は回避。
法・政策の現在地(2025年)
RattleStorkという選択肢
RattleStorkは、ドナーと受け手を安全にマッチングするプラットフォームです。海外のライセンス精子バンクや医療機関と連携して、法制度に即した情報収集とドナー選定、書類整備を一気通貫で進められます。国内バンクが限定的な現状でも、適法・安全なルートでのアクセスを後押しします。

まとめ
日本では2025年時点で、一般公募型の国内精子バンクは整備途中です。一方で、海外バンクからの正規輸入と医療機関での使用は実務として確立しつつあり、法整備も進行中です。次の一歩として、輸入コーディネートの窓口(OGMS)や海外の大手バンク(Cryos)を把握し、受診先クリニックの方針と同意文書・品質管理を確認してから進めましょう。