卵子提供は、卵巣機能不全・高齢・遺伝性疾患などで自分の卵子で妊娠できない場合に選択される高度生殖医療です。日本では法的規制が厳しく、治療は主に海外(米国・スペイン・タイ・韓国など)で行われています。本記事では、日本語で流れ・費用・成功率・法的状況・最新トレンドまで解説します。
卵子提供の流れ
ドナー女性がホルモン刺激で複数卵子を採取し、精子(パートナーまたは提供)と体外受精(IVF/ICSI)します。受精卵(胚)を受け入れ女性の子宮に移植し、妊娠成立を目指します。遺伝的母はドナー、法的母は出産した女性です。
日本の法的状況
日本では卵子提供は「臨床研究」として一部大学病院で実施例があるものの、商業的な卵子バンク・仲介は認められていません。親子関係は「出産した女性=母」とされ、遺伝的母との法的紛争はほぼありません。海外治療後の出生も日本の戸籍法で母子関係が認められます。
胚提供・余剰胚の利用
日本では余剰胚(他人の受精卵)の提供は倫理指針で厳しく制限されています。実施例はごく少数で、主流は卵子提供です。
医学的リスク
ドナー: ホルモン刺激による副作用(腹痛・頭痛・OHSS)、採卵時の感染・出血リスク。
受け入れ女性: 妊娠高血圧症・前置胎盤・早産リスクがやや上昇します。専門施設での管理が重要です。
最新の成功率(2024年データ)
- ~35歳ドナー: 妊娠率50~60%/胚移植
- 累積妊娠率: 2~3回移植で70%以上
- PGT-A(着床前遺伝子検査)併用: 妊娠率65%超(海外例)
成功率はドナーの年齢・健康状態、胚の質、ラボ技術で大きく左右されます。
費用・海外治療の比較(2025年版)
日本国内は臨床研究のみで費用非公開。海外(米国・スペイン・タイ・韓国・ウクライナ等)では1周期80万~200万円(渡航・滞在・薬剤・ドナー謝礼含む)が目安です。複数回パッケージやPGT-A追加で費用増加します。
- 米国: 150万~250万円、オープン型・遺伝情報開示
- スペイン: 90万~150万円、匿名型・高成功率
- タイ・韓国: 80万~120万円、短期滞在・日本語対応あり
- ウクライナ: 70万~110万円、政治リスクあり
保険適用はなく、全額自己負担です。自治体助成は対象外。
倫理・情報開示・子どもの権利
- 日本では匿名ドナーが主流。子どもが18歳以降に遺伝情報を請求できる国も増加中。
- 倫理指針でドナーの健康・年齢・同意が厳格管理されます。
- 商業的仲介は禁止。医療機関・学会の管理下でのみ実施。
最新トレンド・未来展望
- PGT-A(着床前遺伝子検査)で流産率低減・成功率向上
- 卵子バンクの国際連携・日本語サポート拡大
- AI胚選別・ラボ自動化で胚の質向上
- IVG(体外配偶子形成)研究進行中 ― 皮膚細胞から卵子作成
まとめ
卵子提供は日本では厳しく制限されていますが、海外治療で高い成功率が得られます。費用・リスク・倫理・情報開示を十分に理解し、信頼できる医療機関・専門家と連携しましょう。