閉経とは?
卵巣の卵胞数が減少すると、エストロゲン・プロゲステロンが低下します。12ヶ月以上生理が来ない状態を閉経と呼び、日本女性の平均年齢は約50歳です。数年続く更年期(ペリメノポーズ)は、周期の乱れやホットフラッシュ(ほてり)などが始まる時期です。
閉経・更年期の主な症状
一時的にはほてり・寝汗・不眠が多く、気分変動・頭痛・疲労・性欲低下も報告されています。長期的にはエストロゲン不足で膣乾燥・尿トラブル・骨粗しょう症・心血管疾患リスクが上昇します。
心のケアも大切
約25%の女性が更年期・閉経後に抑うつ気分を経験します。認知行動療法やマインドフルネス、セルフヘルプグループの活用が自己肯定感・回復力を高めます。
閉経時期を左右する主な要因
遺伝が最も強い要因で、母親の閉経年齢に近くなる傾向があります。その他の影響要因:
- 喫煙: 10年以上の喫煙で平均2年早まる (NIHメタ解析)
- BMI: 極端な低体重は早め、高BMIはやや遅らせるが健康リスクも増加
- 環境ホルモン: PCB・ダイオキシン・BPAはエストロゲン作用を阻害し、閉経を早める
- 慢性的なストレス・睡眠不足: ホルモン軸を乱し、閉経時期に影響する可能性
食事でできる閉経対策
「アンチ閉経ダイエット」はありませんが、特定の栄養素が症状緩和や閉経時期に影響します:
- 大豆イソフラボン: ほてりを約20%軽減。閉経時期への影響は限定的 (Cochraneレビュー)
- 色とりどりの野菜・果物: カロテノイド・ポリフェノールが閉経を遅らせる傾向
- オメガ3脂肪酸: 青魚・亜麻仁油で炎症抑制・心血管保護
- カルシウム・ビタミンD: 骨密度維持に必須

リスク要因を減らす生活習慣
日常の工夫で閉経時期を数年遅らせ、健康的な更年期を迎えられます:
- 禁煙: 早めの禁煙が最も効果的
- アルコールは適量: 休肝日を設けることでホルモンバランス維持
- 適正体重: BMI18.5~25が理想
- 環境ホルモン対策: BPAフリー容器・有機食品の活用
- ストレス管理: 瞑想・ヨガ・呼吸法でコルチゾール低下・周期安定
- 睡眠習慣: 7~8時間、暗く涼しい部屋・就寝儀式で質向上
運動 ― 万能の健康法
週150分の有酸素運動+週2回の筋トレで心臓・筋肉・骨を守ります。運動自体は閉経時期に大きな影響はありませんが、骨粗しょう症予防・睡眠改善・ほてり緩和に有効です。
医療的な予防・チェックアップ
40代半ばから骨密度検査、血圧・脂質・血糖の年1回チェックが推奨されます。ワクチン(インフル・帯状疱疹等)も免疫維持に有効です。
ホルモン補充療法(HRT) ― メリットとリスク
強い更年期症状にはHRTが標準治療です。ほてり・骨粗しょう症・睡眠障害に有効ですが、血栓症・乳がんリスクが上昇するため、医師と個別にリスク・ベネフィットを相談しましょう。
自然・補完療法の最新知見
植物・統合医療も補助的に使われます:
- ブラックコホシュ・レッドクローバー: ほてり緩和効果は中程度。品質・効果は製品ごとに差あり
- 鍼灸: BMJメタ解析でほてり頻度・強度の軽減が報告
- アロマ・ホメオパシー: 主に体験談。科学的根拠は限定的。必ず医師に相談
効果や副作用は記録し、医師と一緒に評価しましょう。
まとめ
閉経は完全に止められませんが、禁煙・適正体重・大豆食品・環境ホルモン対策・運動・ストレス管理で数年遅らせることが可能です。症状が強い場合はHRTや自然療法も選択肢。必ず医師と相談しながら自分に合った対策を選びましょう。